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後継者のための黒字化実現の手引き

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今回は、後継者は事業を引き継いだ後に、事業運営をどのように進めていくのか?とくに、財務面に注目して「数字に強い後継社長」となって、業績向上と財務体質強化を実現するための策について解説します。

 

なぜ、会社にお金が残らないのか?黒字化の「3つのポイント」と資金繰り強化のコツ

先代から経営権のバトンタッチを受けた後継社長は、その後も企業経営をしっかり継続していかなくてはなりません。
企業経営とは社会貢献性を追求しながら経済性の追求も同時に行うこと。永続的な利益を追求すべく、黒字決算を達成して利益を出さなければ会社の継続は到底できません。

では、「利益」とはどのように計算されるのでしょうか?
下記の算式をご確認ください。

利益 = 売上 - 変動費(売上原価等) - 固定費

「変動費」とは売上の増減によって変動する経費、つまり、「仕入原価」や「売上原価」等を意味します。
「固定費」とは、売上の増減があっても変動しない「給料」や「地代家賃」等の経費のことを言います。
「売上」から「変動費」を差し引いたものを、一般的に「粗利益」(管理会計における正式名称は「限界利益」)と言います。この「粗利益」は、「売上×粗利益率」によっても算定可能です。

 

次に、黒字決算を達成して、利益を上げていくためには何をすべきか?を見ていきましょう。上記算式を見る通り、「利益向上」のためには、次の「3つのポイント」があります。

(1)売上アップ
(2)粗利率のアップ(原価率の低減)
(3)固定費の削減

「利益向上」の実現には上記3つのうち、いずれかの要素が必須です。それでは、それぞれの具体的な中身について確認しましょう。

 

(1)「売上アップ」のための具体策

「売上」の中身を見ると、下記のようなとてもシンプルな算式になります。

売上 = 商品単価 × 販売数量 × リピート率

「商品・サービスの単価を上げる」のか、あるいは、「販売数量を増やす」のか、または、「リピート率」を高めていくのか。どの方法が自社にとって最も取り組みやすく、「成果を出しやすいか?」を検討してみてください。

 

(2) 粗利率のアップ(原価率の低減)の具体策

商売においては「粗利率が事業の勝敗を決める」と言っても過言ではありません。
たとえば、卸売業であれば10~30%、飲食業であれば60~70%、コンサルタント業であれば100%等、粗利率は業種によって様々です。
しかしながら、基本的に粗利率は、その業種の付加価値の高さによって決まります。裏を返せば「仕入値を下げる」ことにもなります。

粗利率をアップする、すなわち、原価率を下げるには、下記の方法等を検討してみてください。

➀ 仕入先に値下げ交渉をする。(支払いの前倒しや大量仕入によるリベート等)
➁ 製造工程のうちの一部を外注から内製化する。
➂仕入先数社から相見積もりを取る。

 

(3) 固定費の削減(コストカット)の具体策

会社の運営には、様々な種類の「固定費」が日々発生します。月次決算をしっかり行い、各経費の推移を確認した上で、無駄な経費があればカットしましょう。

具体的には、下記のようなことを確認し、コストカットを検討してください。

□  在庫コスト(倉庫や物流)の削減
□  設備や施設の見直し、有休資産の廃棄や売却
□  無駄な保険料の支払いがないか?
□  人件費の見直し(不要業務や浪費時間の削減、アウトソーシング化、パートへの切替等)
□  役員報酬や同族関係者への地代家賃等の削減
□ 「付き合い」や「義理」だけで支払っている経費の見直し
□ 「ほぼ利用していないもの」等にお金を支払っていないか?
□  値下げ交渉の余地はないか?
□  「相見積もり」を取る
□  定額の固定費を入用買いに出来ないか検討する
□  一括払いで金額を抑える

 

黒字化を実現出来ても油断大敵!
資金繰りに大きな影響を及ぼす「5大金食い虫」に気を付けましょう!

黒字化を達成して、損益計算書上、利益が出ていたとしてもまだ安心はできません。なぜなら、損益計算書だけでは資金繰りの全容は掴めないからです。
「利益」とは、単なる会計学上の「差額概念」であって、現実のキャッシュ(=現金)とは異なります。
たとえ利益が出ていたとしても、キャッシュがなければ、会社は倒産してしまいます。会社にとってキャッシュとは、我々の体内をめぐる「血液」と同じと言ってもいいくらいのものです。

資金繰りに悪影響を及ぼすものとして、下記の「5大金食い虫」があります。
皆さんの会社の貸借対照表上、これらの金額が大きくなっていると要注意です。

(1)売掛金
売掛金が長期間滞留している、未回収分がある場合には早期回収の仕組みづくりを行いましょう。

(2)在庫
必要以上に在庫を抱えていることは、現金を無駄に寝かせていることと同じです。「スピーディーに販売できる体制をつくる」「仕入そのものの見直しをする」等を行い、適正在庫となるよう努めましょう。在庫管理はレコーディングダイエットと同じです。まずは記録とフォローの徹底を行ってください。

(3)借入金の返済
会社の体力以上の借入金を抱え、その返済に苦労している…ということはないでしょうか?借入金の数本を1本にまとめることによる「返済額の減額」や、借り換えによる「金利低減」を検討しましょう。最悪の場合、「返済条件変更等のリスケジュール」も考えなくてはなりません。

(4)設備投資
設備投資を短期の借入で賄うなどしていませんか?長期間使用する設備のための投資については、自己資本および長期の借入でカバーするのが鉄則です。また、投資をすることによる利益予測、収支予測をしっかり行い、「採算性があるかどうか?」の見極めを、事前にしっかり行っておくことが大切です。

(5)税金
無駄な税金の支払いはありませんか?「役員給与の増額」や「倒産防止共済の活用」、「生命保険の活用」等、将来お金が残るような節税の活用も検討してみましょう。

 

 

まとめ

バトンタッチ完了後、すなわち事業承継後から、後継社長の本当の勝負が始まります。
利益の向上や財務体質の強化に王道はありません。小さなことをコツコツ積み上げていくだけです。
黒字化の「3つのポイント」をしっかり検討して、さらなる利益向上を目指しましょう。そして、資金繰りの「5大金食い虫」を少しでも退治して、財務体質の強化を目指してください。
皆さんのご健闘とご活躍を心よりお祈り申し上げます!

 

 

 

 

この記事を書いた人
税理士 田淵 宏明
ヒロ☆総合会計事務所 代表税理士
(日本税理士連合会・登録番号102780号/経済産業省・経営革新等支援機関 認定)
株式会社ヒロ経営研究所 代表取締役

1976年5月5日生まれ。大阪府立豊中高校・関西学院大学経済学部卒業
25歳で税理士試験最終5科目合格後に世界4大会計事務所等で税務コンサルティング業務に携わる。
2005年に29歳でヒロ☆総合会計事務所を設立。資格の学校「TAC」にて税理士講座・税法講師を担当。
2010年株式会社ヒロ経営研究所を設立し、代表取締役に就任。

『損益計算書だけでは経営判断の何の役にも立たない。』『経営にとってキャッシュとは私達の体内をめぐる血液同様、一番大切なもの。』という考えのもと、キャッシュフローを重視した財務コンサルティングにより財務体質改善に成功した実績を数多く持つ。専門用語を一切使わずにわかりやすく解説するスタイルは、二代目・三代目の後継社長や金融機関等からも高い評価を得ている。

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